2008/11/17

NEW! 第六十九段 『カムバック!SF映画 〜ブレードランナー〜』

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※『ブレードランナー』は、1982年製作のSF映画です。酸性雨がそぼふる暗く陰鬱な近未来のロサンゼルスを舞台に、人造人間レプリカントの人類への反逆をサスペンスタッチで描いた作品です。

 この作品の原作は、『トータルリコ−ル』、『マイノリティリポート』でも有名なSF小説家、フィリップ・K・ディックの短編小説、という事になっていますが、実際の共通点はほとんどありません。

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 <ブレードランナー〜ストーリー〜>

★舞台は、近未来のロサンゼルス。

 未来の社会では、タイレル社が開発したレプリカントが人類の奴隷として酷使されていた。

 レプリカントは、人間と変わらぬ肉体と知能、そして人類を遥かに凌駕する体力を有する人造人間である。

 感情を持たない労働力として作られたレプリカントであるが、数年の時を生きる内に自我に目覚めた固体が時折、反乱を起こした。

 ブレードランナーは、彼ら『反逆者』を発見、『解任(処刑)』するために任命された特捜刑事である。

 そして、今、また六名のレプリカントが『反逆者』として地球のロサンゼルスに逃げ込んできた。

 彼らを始末するため、引退したブレードランナー、デッカードはかつての上司の命令でその任務に狩り出される・・・・。

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 <ブレードランナー〜ストーリーの核〜>

★地球に逃亡したレプリカントたちの目的は、人類への反逆をふせぐために設定された、自分たちの『短い寿命』をなんとかするためでした。

 しかし、それは決して克服できない事でした。

 絶望をつきつけられたレプリカントは、自らの造物主たるレプリカント技術者たちを次々と惨殺していきます。

 この物語のテーマは、やはり聖書にあるようです。

 レプリカント=アダム(人間)と考えれば、全てのつじつまが合います。知恵の実を食べ、楽園を追放されたアダム(人間)が、残った生命の実(※聖書によると、それは『自転する炎の剣と使徒ケルビムに護られ、エデンの園に封印されている生命の樹の実』の事)を手に入れる為に地球にやって来た。だが、それは神(人間)と等しい存在になる事であり、造物主はそれを許さなかった、という『創世記』の物語に、ぴったり符合するのです。

 また、ブレードランナーは、未来世界の刑事モノという事で、劇中で、デッカードによる『捜査』の様子がつぶさに描かれています。

 このような作品は、映画ではマイケル・クライトンの『未来警察』以外、例はありません。

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 <ブレードランナーが描いた新しいSFの世界>

★SFとは、元々、人間の意識の奥底に潜む恐怖や怪奇なものを崇拝する心を表現したものです。

 だから、SFがその初期からホラーやサスペンスと結びついてきたのは、偶然ではありません。

 怪奇なもの、恐ろしいものが数多く登場するブレードランナーは、そのSFの精神を明確に表現した作品といえるでしょう。

 特に、ブレードランナーが表現手法として新しかったのは、雨のふりしきる暗いイメージで画面を統一した事です。

 従来のホラーSFの作品の中でも、ここまで画面を暗く塗りこめた映画はありませんでした。

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 <ありえない近未来風景〜2019年ロサンゼルス〜>

★『ブレードランナー』の有名なオープニング場面。

 ヴァンゲリス作曲による、巨大な獣の鼓動のような、鳴動する火山が放つ地響きのような不気味な無諧調音楽風のBGMに乗せて、得体の知れない都市の光景が映し出されます。

 『2019年のロサンゼルス』という近未来のアメリカの大都市を描いているはずなのに、ここはどこなんだ・・・という感じ。

 地平線に見えるのは、レプリカント製造会社、タイレル社の本部ビル。

 タイレル社の建物が、古代メソポタミアの神殿、ジッグラトに酷似しているのは、この物語が、『神への反逆』をテーマにしているからでしょう。

 ずっと、このオープニング場面は、ディストピア的ロサンゼルスの風景を描いているものだ、と深く考えずに信じ込んでいたのですが、イラストを描いていて気がついたのは、どうやら、ここはタイレル社のレプリカント製造工場の上空らしい・・・という事です。

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 <あれは、お腹の薬なんですが・・・〜強力わかもと〜>

★日本における『ブレードランナー』の人気を決定付けたと思われる(?)のが、劇中で流れていた強力わかもとの宣伝。

 怪しげなゲイシャガールが、ほほえみながらわかもとをペロリ。

 多分、リドリー・スコットは、『強力わかもと』を、『強精剤』か何かだとカン違いしていたんだと思います。

 毒々しいネオンに彩られたロサンゼルスの夜景は、新宿歌舞伎町をイメージして作り上げられました。

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 <バビルの塔に住んでいる〜ロサンゼルス市警本部〜>

★あのヘンな筒みたいな建物は、戦前の無声映画『メトロポリス』のワンシーンをイメージして撮影されました。

 『ブレードランナー』には、『メトロポリス』へのオマージュがそこかしこに見られます。

 さすがに、ヒロインの名前まで『マリア』にしてはやりすぎだったのでしょう・・・・。

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 <サイバーパンクを知っていますか?>

★『ブレードランナー』以降、SFの世界ではサイバーパンクという用語が大流行となりました。

 サイバーパンクとは、『機械に支配された世界』を表現する言葉です。

 この思想は、すでにリドリー・スコット監督の前作、『エイリアン』でデザインを提供したスイスのイラストレーター、ハンス・ルーディー・ギーガーが描き続けてきたものです。

 余談ですが、サイバーパンクブームのまま、世界がインターネット社会を迎えていれば、パソコンのデスクトップは、今のように明るい物ではありえなかったハズです。

 パソコンを起動するたびに、おどろおどろしい画面が現れ、『あなたの脳は機械に支配されている・・・・』なんて文字が浮かび上がっていたかも知れません。

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<『ブレラン』真の『ファイナルバージョン』〜日本語吹き替え版〜>

 ブレードランナーは、日本公開当時、『E.T』の人気に完全に押されて、ほとんどファンに知られる事なく、劇場公開は打ち切られました。

 その後、熱心なファンが『幻の傑作』と口コミに伝え、その評判ばかりが話題となっていきます。

 そんな時、『月曜ロードショー』で、ブレードランナーはTV放送されます。

 今と違って、ビデオレンタル店も少なかった当時、この放送で初めてブレードランナーに触れたファンは少なくなかったのです。

 その彼らにとっては、この日本語吹き替え版こそが、『ブレードランナー』でした。

 筆者も、当時、この放送を買ったばかりのビデオデッキで録画し、何度も見返したものです。

 実際、この吹き替えは、最後のルドガー・ハウアーの独白など、印象に残る名演です。

 ホントの所、生のハリソン・フォードのナレーションなどヘタクソもいい所で、とても聞けた物ではありません。

 そういう意味では、この日本語吹き替え版こそ、真のブレードランナー『ファイナルバージョン』といえるのではないでしょうか。(いいのか?こんな事書いて?)

 この版は、現在、DVDに収録されています。

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 <盆栽>

★ブレードランナーで最も印象的なアイテムに、背景のそこかしこに置かれている松の木の盆栽があります。

 そういえば、『カラテキッド』でもミヤモト老人が主人公の少年に盆栽をプレゼントするシーンがありました。

 わかもとの件といい、『ブラックレイン』の監督も、日本の物を出してくれるのはありがたいのですが、『もう少し日本の文化を正確に理解してから日本に来て欲しい』と思いました。

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 <スシみたいな男>

★劇中のデッカードの独白に、『俺は、離婚した妻に、スシみたいに冷たい男だ、と言われた事がある』というのがあります。

 アメリカへの輸出食品に、冷凍ズシ、というのがあるそうです。

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